会計ソフト経理・法律に関する情報減価償却の基礎知識(平成23年度税制改正対応)

税法の規定による減価償却費の計算方法

減価償却の計算が異なれば減価償却費も違ってきます。そのため減価償却計算の方法について事業者の自由とすれば、減価償却費を自社に都合のいいように計算することで、利益の操作を行うことが可能となります。

利益の額がいくらになるのか、これは経営者や株主だけでなく税金を徴収する立場の国にとっても最大の関心事と言えます。そこで国は、減価償却費の計算が利益操作に利用されて不当に利益が削減されないよう、税金計算のベースとなる利益の算定をする場合に適用する減価償却費計算に関しては、税法で詳細な規定を設けています。

1.定額法

(1) 平成19年3月31日以前取得分

平成19年度税制改正前の減価償却計算の方法は、「旧定額法」と呼ばれます。旧定額法は、次の算式により計算した金額を各事業年度の減価償却費とする方法です。

旧定額法の償却額=(取得価額−残存価額(注1))×旧定額法の償却率(注2)
(注1) 「残存価額」は、取得価額に耐用年数省令別表第十一に規定されている残存割合を乗じた金額です。
(注2) 「旧定額法の償却率」は耐用年数省令別表第七に規定されています。

(2)平成19年4月1日以後取得分

次の算式により計算した金額を各事業年度の減価償却費とする方法です。旧定額法との大きな違いは、残存価額が算式からなくなったことです。

定額法の償却額=取得価額×定額法の償却率(注)
(注)「定額法の償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。

2.定率法

(1) 平成19年3月31日以前取得分

平成19年度税制改正前の減価償却計算の方法は、「旧定率法」と呼ばれます。
旧定率法は、次の算式により計算した金額を各事業年度の減価償却費とする方法です。

旧定率法の償却額=(取得価額−既償却額(注1))×旧定率法の償却率(注2)
(注1) 「既償却額」とは、前事業年度までに費用(損金)・経費とした償却費の累積額です。
(注2) 「旧定率法の償却率」は耐用年数省令別表第七に規定されています。

(2)平成19年4月1日から平成24年3月31日までの取得分

250%定率法」と呼ばれる定率法が適用されます。

250%定率法は、次の算式1により計算した金額(以下「調整前償却額」といいます。)を各年度の減価償却費とする方法です。

ただし、調整前償却額が償却保証額(注1)に満たない場合は、次の算式2により計算した金額が各年度の減価償却費となります。

(算式1)
定率法の償却額=(取得価額−既償却額(注2))×定率法の償却率(注3)

(算式2)
調整前償却額が償却保証額に満たない場合の定率法の償却額
=改定取得価額(注4)×改定償却率(注5)

250%の意味は、定率法の償却率が定額法の償却率の250%(2.5倍)である、ということです。定額法の償却率の2.5倍の償却率で償却を行うため、初期の段階で多額の償却費を計上することができます。

(注1) 「償却保証額」とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率(耐用年数省令別表第九、十に規定されています。)を乗じて計算した金額です。
(注2) 「既償却額」とは、前事業年度までに費用(損金)・経費とした償却費の累積額です。
(注3) 「定率法の償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。
(注4) 「改定取得価額」とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。
(注5) 「改定償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。

(3)平成24年4月1日以後取得分

200%定率法」と呼ばれる定率法が適用されます。

200%定率法は、次の算式1により計算した金額(以下「調整前償却額」といいます。)を各年度の減価償却費とする方法です。

ただし、調整前償却額が償却保証額(注1)に満たない場合は、次の算式2により計算した金額が各年度の減価償却費となります。

(算式1)
定率法の償却額=(取得価額−既償却額(注2))×定率法の償却率(注3)

(算式2)
調整前償却額が償却保証額に満たない場合の定率法の償却額
=改定取得価額(注4)×改定償却率(注5)

200%の意味は、定率法の償却率が定額法の償却率の200%(2倍)である、ということです。従前の250%定率法では、「当初の償却額があまりに多額になりすぎた」との反省から、償却のペースを250%から200%へと2割落としたのです。

(注1) 「償却保証額」とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率(耐用年数省令別表第九、十に規定されています。)を乗じて計算した金額です。
(注2) 「既償却額」とは、前事業年度までに費用(損金)・経費とした償却費の累積額です。
(注3) 「定率法の償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。
(注4) 「改定取得価額」とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。
(注5) 「改定償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。

3.経過措置による混乱の回避

度重なる税制改正で、定率法の償却率はなんと「旧定率法」、「250%定率法」、「200%定率法」の3つの方法が存在するという、非常に複雑かつ面倒な状況となってしまいました。

そこで、200%定率法と250%定率法が混在することによる事務負担を軽減し、短期間での頻繁な税制改正による混乱を回避するため、次の経過措置が設けられました。

(1)「3月決算法人」以外の法人に対する措置

改正法は、平成24年4月1日以後取得する資産に用いる償却率を200%定率法とすることを定めています。しかし、「3月決算法人」以外の法人については、200%定率法を平成24年4月1日以後に開始する事業年度分からの適用とすることができる措置を設けています。この経過措置を受けるにあたっては所轄税務署への届出は不要です。

(2)250%定率法適用資産に200%定率法を適用する経過措置

既に250%定率法を適用している資産について、「200%の定率法の適用を受ける旨の届出書」を所轄税務署へ提出することで、250%定率法から200%定率法へと変更することができます。

250%定率法から200%定率法へ途中で変更すると、本来であれば償却不足額が発生することになるため、法定耐用年数内に償却が終了しないという問題がおきます。

そこで、この経過措置を適用した場合には、所定の届出をすることにより法定耐用年数で償却を終了させることができるように手当されています。

4.200%定率法の影響

250%定率法から200%定率法への改正で、設備投資期間の前半の償却額が減ることになり、結果投資額の回収が遅くなりました。そのため、資金計画の見直しを検討する必要が出てきました。

5. 増加償却と特別償却(割増償却、初年度特別償却)

(1)増加償却

増加償却とは、機械装置において、法定耐用年数を決定する際に見積もった通常の平均使用時間を上回って使用している場合に、予め定められた法定耐用年数に基づいた減価償却額を上回る償却を行うことをいいます。

具体的には次の手順で増加償却額が計算されます。

@増加償却の適用の有無の判定
  • (a)増加償却率の計算
    増加償却率=0.035×1日あたりの超過使用時間=0.××(小数点以下2位未満切上)
  • (b)適用の有無
    増加償却率≧0.1の場合は、増加償却の適用があります。
A償却限度額の計算(定率法による場合)

当期の償却限度額=帳簿価額×償却率×(1+増加償却率)

(2)特別償却

特別償却とは租税特別措置法に規定され、投資の促進等を目的とする政策上の要請から、一定の要件の下で特別に通常よりも償却限度額を大きくすることを認めたものです。

特別償却制度には、次の2つのケースがあります。

@割増償却

普通償却限度額を一定の期間割増しして償却を行う方法です。

  • (a)普通償却限度額
  • (b)特別償却限度額
    特別償却限度額=普通償却限度額×一定率
  • (c)償却限度額
    償却限度額=(a)+(b)
A初年度特別償却

普通償却限度額に加えて、取得価額の一部を償却初年度に償却する方法です。

  • (a)普通償却限度額
  • (b)特別償却限度額
    特別償却限度額=取得価額×一定率
  • (c)償却限度額
    償却限度額=(a)+(b)

税理士田中先生のワンポイントアドバイス
(経理・法律に関する情報)

少額短期保険と生命保険料控除

(2016年11月29日掲載)

ご存知ですか?この情報
(経理・法律に関する情報)

社長と会社の間での資金貸借に注意
固定資産の評価損の取り扱い

(2016年12月1日掲載)

ページの先頭へ