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掲載日2010年12月20日
サブプライムローンに端を発したアメリカの金融危機は、売上ダウン、資金収支の悪化などと日本の企業にも大きな影響を及ぼしてきています。銀行からの融資を受けることなく、無借金で経営している会社は少ないでしょうから、現在のような状況下では資金繰りが限界にきている会社も珍しくありません。
会計事務所へも、資金繰りが厳しく銀行への返済が遅れそうだがどうしよう、などの相談が持ち込まれています。そして、税理士・会計士の中には、返済が遅延すると信用が落ちるからなんとか頑張って返済できませんか、と信用第一のアドバイスをする先生もおられます。
ご存知のとおり金融機関は経営にとっての命である資金の供給源です。その金融機関の信用を大切に考えて、当初の約束どおりの返済を果たすことの重要性は十分に理解できます。
ただし、信用を最優先とする返済重視の姿勢にも程度があります。収支予想から判断して明らかに現在の返済を継続していくことが不可能であるなら、これはもう信用第一と言っている場合ではないでしょう。
にもかかわらず、無理に無理を重ねて返済を継続していくなら、実は誠意ある経営者の方ほどこのパターンへと進みがちなのですが、結果的に資金不足から事業が終わってしまうことが多いのです。そこで、資金がまわる返済額はいくらなのか、まずすべきことはこの計算のはずです。
資金がまわらない会社は、銀行との返済契約があるから、などと言ってる場合ではありません。一刻も早く金融機関と返済条件の見直し交渉に入らなければなりません。当初の約束にしばられていたら、会社の倒産は必定です。
毎月の返済額の減額、返済期間の延長などの返済条件の見直しを「リスケ(リスケジュールの略)」といいます。資金がまわらない状況の会社は、毎月無理なく返済できる金額はいくらなのか、検討を行います。大事なのは「無理なく」という点にあり、金融機関への遠慮から無理をした返済額を設定すると、また近い将来に返済困難となってしまうかも知れません。ここは余裕のある返済額を決めます。
新たな返済額を決めたら、直ぐに銀行へ出向いてリスケの交渉を行います。当たり前ですが、銀行はリスケを歓迎してはくれません。担当者は嫌な顔をしてくるかもしれませんし、或いは今後の融資は出来なくなりますよ、などとプレッシャーをかけてくるかもしれません。
しかし、何と言われようともここで引いてはダメです。銀行に説得されてリスケを勝ち取れなければ、毎月の返済資金を作るために商工ローンから高金利で資金を調達したり、親戚や友人を保証人にたてて資金を調達するなど、最悪のシナリオへと突き進むことになるからです。親戚や友人を保証人として事業に巻き込むのは、大切な人に大きな精神的負担をかけることになります。これは何としても避けなければなりません。
返済不能という会社の非常事態にあっては、強い意志をもって金融機関とリスケの交渉を行い、月々の返済額減額の承諾を得ることが絶対に必要となります。どうか会社の存続をかけた最後の戦いである、ということを忘れないでください。
(2025年2月28日掲載)
(2025年2月28日掲載)