2002年12月掲載
消費税の免税点等引下げへ!
いよいよ消費税の改正が行われます。これまでも益税等の批判が多かった消費税ですが、免税点の引下げや簡易課税制度の適用上限の引き下げで免税事業者や簡易課税制度の適用事業者は激減することになります。
具体的な改正のポイントは、次のとおりです。
1 事業者免税点の引き下げ
本制度の適用上限は3千万円から1千万円に大きく引き下げられます。この改正により、全事業者の62%を占めていた免税事業者は、39%へと大きく減少することが予想されます。
2 簡易課税制度の適用上限の引き下げ
本制度の適用上限は2億円から5千万円に大幅に引き下げられます。
この改正により、全事業者の47%を占めていた簡易課税適用事業者は、22%までに激減することが予想されます。
3 価格表示
価格表示は消費税を含めた総額での表示となります。
4 適用関係
平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用となります。
最低資本金規制の緩和
「資本金が1円でも株式会社、有限会社が設立できる。」
これまで最低資本金に関して、平成2年の商法改正後は株式会社の最低資本金1000万円、有限会社の最低資本金300万円とされてきました。が、平成14年11月15日(金)、会社設立時から5年間この最低資本金を猶予する「新事業創出促進法」改正案が、国会にて成立したのです。
資本金は債権者や従業員に対しての最低限の担保としての性格を有することから、その充実が叫ばれ平成2年の商法改正により最低資本金の引き上げがなされたわけです。しかし、最低資本金引き上げ後には、「現実に起業をするとなると300万円以上というハードルは意外に大きな障害ではないのか?」、「これでは起業創業支援の流れに逆行しているのではないか?」、といった批判が多く出てきことも事実でした。
そこで、今回の措置にみられるように、設立から5年後には最低資本金(1000万円又は300万円)に達成することを前提に、1円での株式会社、有限会社の設立を認めたものです。
年末調整近づく
今年も年末調整の時期が近づいてきました。社員の方に必要な書類をスムーズに提出してもらえるように、年末調整での一般的な控除項目と必要書類等の告知を早い時期にしておきましょう。
1 住宅借入金(取得)特別控除(一般的なケース)
| 必要書類 | 「給与所得者の住宅借入金(取得)等特別控除申告書」 「年末調整のための住宅借入金(取得)等特別控除証明書」(住所地の所轄税務署長が発行) 「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」(借入金融機関発行) |
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2 配偶者控除、(配偶者特別控除)
控除額は38万円(配偶者が70歳以上なら48万円)。ただし、配偶者のパート収入などが年103万円を超えると控除は受けられません。なお、配偶者特別控除は廃止の可能性が高いようです。
| 必要書類 | 通常会社から配布されます |
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| 確認事項 | 配偶者の年収 |
3 扶養控除
| 必要書類 | 通常会社から配布されます |
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| ポイント | 扶養親族は同居でなくてもかまいません。 (例)故郷の父母へ生活費を送金している、地方の大学へ入学した娘に送金している |
4 生命保険料控除、 損害保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
| 必要書類 | 生命保険料控除証明書 損害保険料控除証明書 小規模企業共済等掛金控除証明書 |
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2002/11上旬 定款に基づく取締役会決議で自己株式を取得!
2001年10月から自己株式(金庫株)の取得が解禁となり、多くの企業がその取得に動いているのは、新聞報道等でよくご存知のことかと思います。自己株式の取得・売却はストックオプションとしてだけでなく、様々な経営戦略を実現するための一手段として定着してきています。
現行の商法規定では、自己株式の取得には年に一度開催される定時株主総会の決議が必要ですが、自民党では、さらなる産業界の要望を受けて「自己株式の取得が定款に基づく取締役会決議で可能」となるように、商法等の一部改正法案を今臨時国会において議員立法として提出する動きをみせています。他に継続審議の法案もあるため今臨時国会での成立は難しい状況にあると言われていますが、いずれこの改正が実現すれば、取締役会で自己株式の取得に対して迅速な対応が可能となるため、自己株式を経営戦略にスピーディに活用することが可能となるのは確実です。
ローマ字での会社名の登記
商業・法人登記にローマ字を使用したいという要望が、平成14年11月1日から実現することになりました。商業登記規則等の改正により、従来、商業・法人登記で認められなかったローマ字等を使用した会社名(商号)が登記できるようになったのです。そこで、今回はその概要を早速お伝えします。
T.従来の商業・法人登記
会社の社名(商号)にローマ字等を使用することはできませんでした。
U.改正後の商業・法人登記
平成14年11月1日以降は、社名(商号)にローマ字を使用することができます。また、以下の符号についても使用することができます(商業登記規則51条の2、法務省告示315号)。
- ローマ字(大文字、小文字)
- アラビア数字
- 字句を区切る際に使用可能な符号
アンパサンド(&) アポストロフィー(') コンマ(,) ハイフン(−) ピリオド(.) 中点(・)
V.改正への対応
現在、定款等において登記上の商号とは別にローマ字を用いた会社名(商号)を使用している場合、登記上もローマ字の社名(商号)に変更するためには、登記の更正申請をします。
中古資産を取得した場合の耐用年数
経費削減やリサイクル業者の増加を背景に、備品や設備等を中古で購入する企業も多くなっています。ご存知のとおり、備品や設備等の有形固定資産の購入代価(取得原価)は、減価償却手続きを通じて各資産の耐用年数に応じて費用化されることになります。実務では、耐用年数の決定に当たって法定耐用年数を使用しますが、これは新品資産の耐用年数を定めたものであり、一般には中古で取得した資産の耐用年数は別に求めることになります。税法では、中古資産の耐用年数の決定に関して次のとおり複数の方法を定めています。
1 見積法による耐用年数
中古資産を事業の用に供した時以後の使用可能期間の年数(残存耐用年数)による方法です。
2 簡便法による耐用年数
(1)資本的支出の額が取得価額の50%に相当する金額を超えない場合
中古資産の残りの耐用年数を見積もることが困難な場合には、次の算式により計算した年数を残存耐用年数とする簡便法が認められています。
| 法定耐用年数の全部を経過したもの | 法定耐用年数×20/100 |
|---|---|
| 法定耐用年数の一部を経過したもの | (法定耐用年数―経過年数)+経過年数×20/100 (注)1年未満の端数は切り捨て、上記の計算による耐用年数が2年未満のときは2年とします。 |
(2)資本的支出の額が取得価額の50%に相当する金額を超える場合
簡便法による残存耐用年数の計算は認められません。
この場合には、原則として見積法により残存耐用年数を計算することになります。
※ただし、会社が、税法に定める方法で計算した年数(1年未満の端数切捨て)をその中古資産の残存耐用年数としているときは、これを認めることとされています。
3 見積法及び簡便法の適用ができない中古資産
原則として、見積耐用年数によらず、法定耐用年数を適用します。
混迷する?中小企業の会計基準
中小企業庁では、従来から「中小企業の会計に関する研究会」を開催してきており、その結果「中小企業の会計」のドラフトを公表しました。公表されたドラフトは公開会社等の会計基準をベースにしたものとなっていたために、中小企業の会計基準を別に作成すべきかどうかという点で、会計専門家の間で議論が高まっています。
今回示されたドラフトは、商法を前提に債権者や取引先に対して信頼性を得ることができる基準を明らかにしたものと説明されており、対象となる会社は、商法特例法上の小会社(資本金の額が1億円以下の株式会社)で株式公開を当面目指していない会社とし、公開会社、商法特例法上の大会社の子会社は対象外としています。
しかしながら、ドラフトを読んでみると、小会社特有の会計基準というものではなく、公開会社等の会計基準をベースに企業規模を考慮して、重要性の低い項目を省略した形式となっているのは明らかです。
ジャスト中小企業サイズを唱える専門家からは、これでは、小会社特有の会計基準と呼べるものでは無いとった意見があがっていますが、一方、公認会計士等からは会計のダブルスタンダード(公開会社等の会計基準と中小会社特有の会計基準)は認められないとの考えが表明されたりし、議論はこれからさらに白熱しそうです。
![[会計ソフト]経理・法律に関する情報 ご存知ですか?この情報](images/bi-title.png)