2003年11月掲載
労働保険料におけるパート、アルバイトの取扱い
中小企業では、正社員の数は必要最小限とし、パートやアルバイトの力を借りて必要な労働力を調達するのが一般的といえます。こうした方法により、良いか悪いかは別として仕事の受注量に応じた労働力の調整か可能となり、賃金の変動費化が計られているわけです。
また、単に賃金を変動費として管理することが可能となるだけでなく、保険料の会社負担額の減少という大きな効果もあるわけです。そんなことから、よく質問を受けるのが、労働保険料の算定の基礎となる賃金総額に、パートタイマー、アルバイトに支払った賃金も含めるのかどうか、ということです。
労働保険には労災保険と雇用保険がありますが、両者では取扱いが異なります。労災保険では、パートタイマーやアルバイトも労働者であり労災の対象となるため総額に含める必要があります。一方、雇用保険の場合は、これらの方々が保険者になるのかならないのかで、取扱いが変わってきます。被保険者となれば当然賃金総額に含めますし、被保険者にならなければ除外することになるわけです。
税理士 田中利征
年末調整近づく
T 年末調整とは
年末調整とは、毎月(日)の源泉徴収税額の合計額と年税額とを一致させる事務です。給料や賞与などの給与所得について、源泉徴収制度のもとにおいて毎月(日)源泉徴収してきた税額の1年間の合計額は、年の中途で扶養親族等に異動があってもさかのぼって源泉徴収税額を修正しないとか、各種の保険料控除、配偶者特別控除や住宅取得等特別 控除又は住宅借入金等特別控除に相当する控除が行われていないなどの理由によって、その人の年間給与総額について納めなければならない年税額とは一致しないのが普通です。この不一致を精算する事務が「年末調整」です。
U 年末調整を行う時期
通常、年末調整は12月に行います。
年末調整を行う時期は、「年末調整」という字句のとおり、通常は12月において本年の最後の給与を支払う時になります。
したがって、本年最後に支払う給与が通常の給与(月給等)であれば、その通常の給与を支払う時となり、年末手当等の賞与が最後の給与であれば、その賞与を支払う時ということになります。
ただし、年末の賞与が通常の給与より先に支払われるような場合には、その賞与を本年最後に支払う給与とみなして、その賞与の支払の時に年末調整を行うことができることになっています。この場合の年末調整は、その賞与を支払う時点で、その後に支払われる12月分の通常の給与の見積額及びその見積額に対する徴収税額を含めたところで行うことになります。
V 年末調整に向けての準備
年末調整による正しい税額を算出するためには、その準備として、次に掲げる事務を行う必要があります。
- 扶養控除等申告書による扶養控除額等の検討 (控除対象配偶者、扶養親族、障害者、老年者、寡婦、寡夫、勤労学生)
- 配偶者特別控除申告書による配偶者特別控除額の検討
- 保険料控除申告書による各種保険料控除額の検討 (生命保険料・個人年金保険料、損害保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金)
- 住宅取得等特別控除申告書による住宅取得等特別控除額の検討
- 給与の金額、給与から控除した社会保険料の金額及び月(日)々の徴収税額の集計
税理士 田中利征
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