2005年5月掲載
もう許されない?厚生年金への未加入
事業者は、原則として厚生年金への加入を義務づけられています。しかし、現実には小規模零細企業では厚生年金に未加入の会社も珍しくありません。年金問題の解決には、この未加入事業者をいかにして加入させるのかも、極めて重要な検討課題となっております。
そこで、社会保険庁は、2005年度から厚生年金に加入していない事業者への対応強化へ乗り出します。具体的には、現在行われている文書や戸別訪問による加入指導に従わない場合は、事業所への立入検査を実施し、検査を拒むなどの悪質な事業者に対しては告発も辞さないとするものです。
また、加入指導に対して応じない事業者名などの情報を、社会保険庁のホームページ上などで公表することも検討されているようです。
税理士 田中利征
ご存知ですか?廃止された包括根保証
中小企業の倒産に関連して、これまで幾度となく大問題とされてきた包括根保証、ついに改正民法によりこの包括根保証が廃止となり、4月1日から施行されています。包括根保証とは、中小企業が借主として、銀行等の金融機関から融資を受けるにあたり、経営者やその家族、知人などの個人が、連帯保証人となり返済責任を負う個人保証のことです。
包括根保証の特徴に、融資の増額や期間を延長する際に、改めて保証契約を締結する必要のないことがあげられます。そのため、保証人からすると、保証額に上限がなく、無期限で返済責任を負わされることになるのです。
よって、借主である中小企業の倒産時には、保証人が想定外の高額な代位弁済を求められたり、遠い過去の根保証にまで代位弁済を求められる場合があり、深刻な社会問題となっていたのです。
改正内容の主なポイントは、
- 書面によらない根保証契約の無効
- 保証人の保証する金額への上限設定
- 保証人の保証する債務は、一定の期間(契約で定める場合は契約日から5年以内、契約で定めていない場合は契約日から3年後の日)に発生したものに限定する
の点です。
税理士 田中利征
「適時に帳簿書類を提示し得る態勢での保存」がなければ青色取消
青色申告の取消は、青色申告者にとっては何としても避けたいペナルティと言えます。これまで、青色承認取消事由の解釈については、下級審において多くの判決が出されてきていました。
代表的な判決としては、「帳簿書類の提示を拒否したことが、青色申告承認取消事由に当たる」(東京高裁昭和56.10.21判決)とする判決があり、実務上も広く紹介され、税務の専門家の間では有名な判決とされています。
平成17年3月10日、最高裁判所第一小法廷(横尾和子裁判長)は、次のように判示(要約)しました。 「法人が、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録すべきことはもとより、これらが行われていたとしても、・・・・・(省略)、法人が税務職員の同法153条の規定に基づく検査に適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて当該帳簿書類を保存していなかった場合は、同法126条1項の規定に違反し、同法127条1項1号に該当するものというべきである。」
税理士などの税務実務家の間では、課税当局がいう「帳簿書類を提示しない場合における青色申告の承認の取消し」が認知されており、この度の最高裁判決は、当該租税実務を司法の最高権威が追認したともいえます。
税理士 田中利征
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