2006年9月掲載
厚生年金保険料率の引上げ
厚生年金の保険料率が9月分から0.354%引き上げられ、14.288%から14.642%となります。引き上げられる9月分保険料は10月支払い分給与からの控除となりますので、給与計算の際には間違えないように注意が必要です。
今後も厚生年金の保険料率は毎年0.354%引き上げられ、最終的には18.3%あたりで固定される予定ですが、今後の出生率や平均寿命の動向によってこの数値は変わってきます。
また、各年金や健康保険などの給付・運営には多額の税金も投入されており、こちらにも注目する必要があります。本命は消費税の引上げですが、消費税率が現状のまま維持されるようなら、各保険料は現在の数十%増しになったとしても何ら不思議はないというのが、日本の社会保障制度の状況です。
保険料額引上げの参考例 |
|||
|---|---|---|---|
月収 |
8月分まで |
9月分から |
上昇額 |
20万円 |
28,576円 |
29,284円 |
708円 |
30万円 |
42,864円 |
43,926円 |
1,062円 |
50万円 |
71,440円 |
73,210円 |
1,770円 |
※上記の保険料額は労使双方の負担分を合算したものです。
税理士 田中利征
売掛金の消滅時効
信用取引が常識といえる今日、売掛金の管理、計画的な回収はとても大事な経理業務です。
少数の企業を除いて、売掛金の残高には入金日が到来しても回収できていない、つまり問題ありの遅延や滞留売掛金が必ずあるものです。
遅延状態の問題ありの売掛金は、2年間が経過すると消滅時効となってしまいます。そのため、取引先が時効を主張すれば貸倒損失として処理するしかなくなります。この貸倒に伴う損失は売上金額相当額となるため、貸倒により失った利益を取り戻すためには貸倒額の何倍もの売上が必要となります。
利益を食いつぶす売掛金の消滅時効は、何としても避けなければなりません。多くの会社では、支払のない取引先に対して再請求書を送り続けることになりますが、単に請求書を送るだけでは時効をとめることはできません。時効をとめるには、取引先に売掛金(先方では買掛金)の存在を承認させることが絶対に必要となります。
取引先に債務の存在を承認させるには、決算業務で行われる「残高確認」という方法が利用できます。「残高確認」は決算の正当性を補完するために行われるものですが、他方で売掛金(先方では買掛金)の残高を取引先に承認させることで、売掛金の消滅時効を防ぐ効果もあるのです。
支払いを無視する誠意のない取引先ですから、「残高確認」の返信をしてこないことも多々あります。この場合は取引先へ電話をかけて、会話の中で当方に売掛金が存在することを取引先に認めさせ、この会話を録音しておくようにします。その際には、時効防止が目的ですから会話の中で「年月日」にふれることを忘れないでください。
税理士 田中利征
![[会計ソフト]経理・法律に関する情報 ご存知ですか?この情報](images/bi-title.png)