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2007年2月掲載

平成19年度税制改正の注目点

平成19年度の税制改正にあって、主に中小企業に大きく影響してくる改正内容をみていきましょう。

「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」の基準所得金額が1,600万円以下へ

平成18年度税制改正で導入された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」、いわゆるオーナー一人会社規制が、今回の税制改正で早くも改正となります。創設時から、どうして給与の一部が経費として認められないんだ、との批判も多数あった有名な新制度でした。

具体的な改正点は、適用除外となる基準所得金額が800万円以下から1,600万円以下へと引き上げられます。

現実の小規模企業では、1,000万円前後の給与のオーナー経営者も相当数います。そのため、基準所得金額が800万円以下であると、役員給与の損金不算入の対象となる経営者も少なくありませんでした。よって、今般の引上改正は中小企業にとって非常にメリットのある改正と言えます。

減価償却制度の抜本的な見直し

平成19年度税制改正では、減価償却制度の抜本的な見直しが行われます。企業による設備投資を促進するために、具体的には、購入金額の全額を損金算入できるように改正がなされます。この改正で減価償却制度は、欧米諸国のそれに近いものとなります。

改正される減価償却制度では、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、取得価額の10%とされていた残存価額(10%)と95%を上限とする償却可能限度額が無くなり、購入金額の全額を損金算入できるようになります。

改正後の定率法の償却率は、250%定率法(定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数)と呼ばれるものとなり、減価償却資産の法定耐用年数を経過した時点で購入金額全額(100%)までの償却ができます。

償却限度額は廃止されるため、法定耐用年数を経過した時点で備忘価額(通常1円)まで償却できることになります。なお、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、95%の償却可能限度額まで償却した事業年度等の翌事業年度以後、5年間で均等償却することができます。

なお、固定資産税の償却資産については、現行の評価方法のままで変わりません。

中小同族会社の留保金課税の撤廃

同族会社では、利益を配当や役員賞与にまわすことを避け、社内に溜め込むことがあります。この溜め込んだ利益が留保金と呼ばれ、この留保金に対する課税が留保金課税です。

個人での税負担が重ければ、同族会社においては敢えて配当や役員賞与を行わずに、利益を社内に留保したままとし、個人課税を回避する選択をすることもありえます。このような同族会社の税負担軽減を狙った行動に対して税務当局は、留保金課税と呼ばれる留保金に対する課税という形で対処してきました。

以前から同族会社の留保金課税に対しては、ベンチャー企業の発展・資本充実などを阻害するといった批判も多くあり、平成19年度税制改正で、資本金1億円以下の中小企業では留保金課税が撤廃されました。

税理士 田中利征

機密保持は大丈夫?

会社には様々な秘密情報が存在し、社員はこれらに日々接しています。そのため、秘密情報保持のための対応をとらないと、重要な秘密情報が社員を通じて社外に流出する事態となります。
秘密情報の流出を防ぐために、会社は、社員との間で秘密情報保持のための契約を結ぶ方法をとることが多いようです。一般に、秘密保持契約(又は守秘義務契約)と呼ばれるものです。

旧来は守秘義務契約と言えば、取引を行う社外の会社などと委託契約などに際して取り交わすことが通例でした。

しかし、今日では、社員(退職者を含む)による会社の機密情報漏えい事件が増加してきており、会社内部の社員との間で取り交わす秘密保持契約が、とても重要なものとなってきています。
社員との間で取り交わす秘密保持契約では、

  1. 秘密情報の範囲を明確にする(公知の事実は秘密に該当しない)
  2. 秘密保持義務の規定を設ける
  3. [3]違反した場合の損害賠償義務を明示する

などが重要なポイントになります。

なお、極端に長い秘密保持期間の契約は、その契約が合理性を欠いたものとされるおそれがありますので注意が必要ですし、公序良俗に違反する契約は認められません。

税理士 田中利征

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