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2007年8月掲載

融資期限を必ず設ける

金融業界も、競争力強化のために店舗の統廃合やM&Aを積極的に行い、また新規採用の抑制などで行員の数が随分減ってきています。人員の大幅な減少に反比例して、行員一人が処理しなければならない仕事量はどんどん増えてきているのが実状と言えます。

融資を担当する行員も忙しく、常に多くの融資案件を抱えている状況にあります。これら多くの案件の中から、まず優先して処理されるのが「急ぎの案件」となります。時には緊急に対応が必要な案件が割り込んだりもするので、「急ぎでない」と判断された案件は、いつになってもなかなか処理されずに置かれることになります。

融資の申し込みをする際は必ずいつまでに資金が必要なのか、をはっきりと銀行の担当者に伝えることが大切です。期限を設定することで、いつになってもなかなか処理されずにいる状況を防ぐことができるのです。期限の伝え方も、口頭ではなくて書面等の記録が残る形で行うのがいいでしょう。書面でいつまでに資金が必要なのかが明らかになっていれば、銀行の人事異動で担当者が変わった場合にも、引継や伝達の漏れで融資審査が後回しにされるリスクも少なくなります。

税理士 田中利征

業務主宰役員課税の回避策?

平成18年度の税制改正で創設された特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度とは、法人が業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額に相当する部分の金額の損金算入を認めない制度です。

中小企業の経営者を悩ませているこの制度ですが、何かうまい合法的な回避策は無いかと、様々なスキームが税理士やコンサルタント会社の間で検討されているようです。

本制度の適用対象となるかどうか、判断ポイントの一つが業務を主宰する役員及びその同族関係者等(以下「業務主宰役員等」という)による持株割合にあります。具体的には、業務主宰役員等の保有する株式が90%未満となれば、本制度は適用されません。

そこで、10%超の株式を社長が信頼できる誰かに保有してもらえないか、検討することになるわけです。この保有者の候補として最近注目されているのが、顧問の税理士です。社長と信頼関係が築かれている税理士に保有してもらうなら安心というわけです。

ここでの問題は、顧問税理士は、社長の意向を反映した行動をとるものであり、株主総会でも自由な意志決定を行うことは通常あり得ないという点です。

社長の意向を反映して行動する顧問税理士は、その実体においては同族関係者等と何らかわるものではなく、10%超の株式を顧問税理士が保有することで形式的に90%要件をクリアしたとしても、特殊支配同族会社とされることも当然あるわけです。

税理士 田中利征

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