2010年3月掲載
新規創業段階の企業評価と資金の調達
新規創業の段階で銀行の信用をとりたい、と考える経営者の方は多いでしょう。特に立ち上げ当初から資金需要の大きな事業にあっては、「1ヶ月でも早く銀行の信用が欲しい」というお気持ちは十分に理解できます。
しかし残念なことですが、新規創業の段階では、どのような工夫をしたとしても、銀行の会社に対する信用はゼロの状態なのです。ただ、預金などの自己資金が多ければ、現在の財務安全性において一応の評価とはなります。
銀行は、取引先企業の評価にあたっては、過去の実績を何より重視してきます。残念ながら、過去の実績がない創業段階の企業ではその評価は不可能とも言え、信用はゼロということになるわけです。そのため、新規創業の段階での資金の調達は、企業育成の使命をもつ日本政策金融公庫で行うのが一般的と言えます。
そして、事業で成果を出し実績をつけてきたら、銀行(民間金融機関)から資金調達を行うようにしていきます。よく知られている信用保証協会保証付融資(制度融資)からスタートし、プロパー融資(保証協会の保証がつかない融資)へと進んでいきます。
税理士 田中利征
タックスヘイブン税制の対象外となる中国・韓国等の子会社
アジアに子会社を設立するなど企業が海外へ進出するのは今や常識と言えます。海外に子会社を設立する際には、タックスヘイブン税制の影響の有無を判断する必要があります。
タックスヘイブン税制とは、法人実効税率の低いタックスヘイブン(租税回避地(国))にある子会社で利益を内部留保した場合、留保利益のうち親会社(日本法人)の持分に相当する額は親会社の所得とみなして日本で合算課税する制度です。
現行の税制では、タックスヘイブンと認定されて合算課税の対象となるのは、法人税の実効税率が25%(「トリガー税率」という)以下の国や地域にある子会社とされています。トリガー税率25%については、世界の課税当局の動向から考えれば高すぎる、といった意見が多くありました。
トリガー税率への批判のある中、 中国や韓国では税率の引き下げが行われ、気づくとこれらの国の子会社までもトリガー税率にかかり、タックスヘイブン税制の対象とされてしまったのです。これに対し経済界の反発はとても大きく、政府に対する要望が多く寄せられました。
そこで民主連立政権は、平成22年度税制改正で、トリガー税率を現行の25%から20%以下へと大幅に引き下げる改正を行うことに決めたのです。世界的に見ても法人実効税率は引き下げられる傾向にあり、今回の改正は企業の海外進出を支援するという点からも妥当な改正と言えるでしょう。
税理士 田中利征
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