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2010年8月掲載

銀行を納得させる「事業計画書」

「事業計画書」とは、簡単に言えば、事業の内容、取り扱う商品やサービス、収支予算などを記したプラン書のことです。創業時や、現事業の再構築を考える時などに作成したりします。多くの場合、現時点から5年後までの事業活動を視野に入れて作成します。

事業計画書は、税務申告などに際して税務署へ提出するものではありませんが、資本家や金融機関などの事業へ支援をお願いする関係者を説得し、事業を成功に導くために必ず作成される計画書です。
様々な事業計画書を見てきた経験から言えば、経営者の事業に対する熱意から事業の斬新性や将来性、社会的意義などを強調したいがあまり、情緒優先の事業計画書になってしまっているケースが多々見られます。

確かに、事業関係者にその事業がいかに素晴らしく社会的意義のあるものかを理解してもらうことは大切ですが、それ以上に事業関係者の知りたい情報を十分に説明しておくことは、事業への協力を得るために絶対欠かせません。

事業計画書は銀行などの金融機関へ提出することが多いのですが、銀行が知りたい情報はといえば、返済の実現可能性につきるのです。金融機関では、貸したお金をきちんと返してもらうことが可能な会社(事業)かどうかを判断するための資料として、事業計画書を位置付けているのです。そのため、資金計画、収支計画が銀行にとっては一番重要な審査ポイントとされているのです。

税理士 田中利征

損益計算書の様式が変わる?

「近いうちに損益計算書に「包括利益」というのを表示することになるのですか?」、中小企業の経理担当者の方から最近こうした質問を受けることがあります。

「包括利益」とは、会計基準の世界的な統一を進める国際的な機関である国際会計基準審議会(「IASB」と呼ばれる)によって作成される「IFRS(国際会計基準)」で採用されている利益概念です。大企業などでは、順次財務諸表をIFRSへと適応させることになっています。そのため、中小企業の決算書にも影響があるのではないか、と考える方から出てきた質問のようです。

結論から言えば、中小企業の会計がIFRS適応となることはありません。よって、IFRSでの損益計算書を中小企業が作成することもありません。ただし、中小企業の会計がどうあるべきか、現在政府の機関などが議論を重ねており、現在の決算書の様式が変更される可能性はあるかもしれません。

税理士 田中利征

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