2013年3月掲載
平成25年度税制改正大綱―個人所得税編―
平成25年度税制改正大綱(以下「大綱」)が発表され、1月29日に閣議決定されました。ここでは、大綱のうち個人所得税の改正ポイントを取り上げてみました。
なお大綱は、3月の国会で可決成立するまでは政府による税制改正の原案である点に注意してください。
1.所得税の最高税率の創設
課税所得4,000 万円超について45%の税率が創設されます。
2.金融・証券税制関連
(1) 日本版ISAの創設
10 年間、500 万円の非課税投資を可能とする日本版ISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が創設されます。
(2) 金融所得課税の一体化の拡充
公社債等の利子及び譲渡損失並びに上場株式等に係る所得等の金融商品間の損益通算範囲が拡大されます。
3.住宅関連税制
(1) 住宅ローン減税の延長と控除額の拡充
住宅ローン減税を平成26 年1 月1 日から平成29 年末まで4年間延長し、その期間のうち平成26 年4 月1 日から平成29 年末までに認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)を取得した場合の最大控除額を500 万円に、それ以外の住宅を取得した場合には400 万円にそれぞれ拡充されます。
(2) 住宅投資減税の拡充
自己資金で認定住宅を取得した場合及び省エネ等の一定の住宅リフォームを行った場合の所得税の住宅投資減税について拡充されます。
(3) 住民税の住宅ローン控除の拡充
個人住民税における住宅ローン控除について、平成26 年4 月1 日から平成29年末までの間、控除限度額が拡充されます。
4.復興支援関連措置
(1) 土地譲渡所得に対する5,000 万円の特別控除の創設
高台移転を更に推進するため、一定の要件を満たす防災集団移転促進事業で行われる土地の買取りに係る譲渡所得に対し、5,000 万円の特別控除制度が創設されます。
(2) 住宅ローン減税の引上げ
東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取得等する場合、住宅ローン減税の最大控除額が他の地域よりもさらに抜本的にかさ上げされ、現行の360万円から600 万円へと引上げられます。
税理士 田中利征
平成25年度税制改正大綱―法人税編―
平成25年度税制改正大綱(以下「大綱」)が発表され、1月29日に閣議決定されました。ここでは、大綱のうち法人税の改正ポイントを取り上げてみました。
なお大綱は、3月の国会で可決成立するまでは政府による税制改正の原案である点に注意してください。
1.民間投資の喚起
(1) 生産等設備投資額を一定以上増加させた場合の特別償却又は税額控除
国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合には、その生産等設備を構成する機械装置の取得価額の30%の特別償却又は3%の税額控除ができる制度が創設されます。
(2) 環境関連投資促進税制の延長と拡充
環境関連投資促進税制について、その適用期限を2年延長するとともに、即時償却の対象資産にコージェネレーション設備が追加されます。
(3) 研究開発税制の拡充
研究開発税制の総額型の控除上限額を法人税額の20%から30%へと引き上げるとともに、特別試験研究費の範囲に一定の共同研究等が追加されます。
2.雇用・所得の拡大
(1) 所得拡大促進税制の創設
労働分配(給与等支給)を一定以上増加させた場合、その増加額の10%の税額控除を可能とする所得拡大促進税制が創設されます。
(2) 雇用促進税制の拡充
雇用促進税制を拡充することとし、税額控除額を増加雇用者数一人当たり20 万円から40 万円へと引上げられます。
3.中小企業対策・農林水産業対策
(1) 経営改善に向けた設備投資の特別償却又は税額控除制度の創設
商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等が経営改善に向けた設備投資を行う場合に30%の特別償却又は7%の税額控除ができる制度が創設されます。
(2) 中小法人の交際費課税の特例を拡充
中小法人の支出交際費の800 万円までを全額損金算入できるようになります。
4.復興支援のための税制上の措置の法人への適用
避難解除区域等における避難対象雇用者等を雇用する場合の税額控除制度、及び設備投資を行う場合の即時償却や税額控除ができる制度について、新たに避難解除区域等に進出する法人に同様の措置の適用がされるようになります。
税理士 田中利征
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