2013年10月掲載
資本性ローン活用のすすめ
資本性ローンとは、日本政策金融公庫(中小企業事業)の融資特例制度です。内容は、「新規事業や企業再建等に取り組む中小企業の財務体質強化を図るために資本性資金を供給する制度」とされています。
資本性ローンの一番の特徴は、資本性ローンによる借入金は、金融検査上、自己資本とみなされるという点です。
資本性ローンは、10年もしくは15年の長期性の融資です。財務諸表である貸借対照表上の表示は、固定負債の長期借入金に区分されます。
固定負債として表示される資本性ローンですが、金融庁が行う金融検査においては、「自己資本」としてみなしてくれるのです。
借入金に代表される負債が多くなると、企業は金融機関からの融資を受けづらくなってきます。その点で資本性ローンは、負債ではありますが、融資に際しては自己資本として見てくれるため、追加の融資を受けやすくなるのです。
税理士 田中利征
相続放棄の勘違い
相続に際して「相続放棄」をされる方が増えています。長期にわたる経済低迷から多額な債務を抱えて亡くなる高齢者の方が増えていることも原因の一つのようです。
裁判所が公表している司法統計を見ると、平成23年度中に家庭裁判所に申述(申立)された相続放棄の事案は16万件を超え、20年前に比べて実に3倍以上となっています。
世間では、相続放棄をすると基礎控除で不利になる、との間違った認識が広がっており、相続放棄をためらう方もいらっしゃるようです。
相続税の計算にあたり基礎控除(5千万円+1千万円×法定相続人数)があることは広く知られています。
この基礎控除について、相続放棄をすれば実際の相続人数は減ることになるため、相続税計算で控除できる基礎控除の人数も減る、と思われている方が多いようですが、これは間違いです。基礎控除額の計算は、「法定相続人数」に相続放棄した人も含めて計算することになるのです。
平成27年1月以後の相続からは相続税の基礎控除が引下げられます。そのため、相続税の対象者が拡大するので、相続放棄を選択される方は確実に増えるでしょう。
税理士 田中利征
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