平成27年度税制改正大綱―法人他編(その1)
昨年の12月30日に平成27年度税制改正大綱(以下「大綱」)が発表されました。本稿では、前稿に続いて大綱のうちで法人他に関する主な改正点を見てみます。
1.法人税率の引下げ
現行の法人税率25.5%が、平成27年4月1日以降より開始する期より23.9%に引き下げられます。本改正により、地方税も含めた実効税率は35.64%から33.10%(東京都の法人)へと下がります。
なお、中小企業に対する年800万円以下の所得部分について、本来の税率19%を15%へと軽減する策は、さらに2年間延長されます。
2.所得拡大促進税制の拡充
給与支給総額が増加した場合に、増加額の10%の法人税を控除する制度について、平成28年4月1日以降に開始する期より、給与支給総額の増加割合が現行の5%以上から3%以上(資本金1億円以下の法人)へと対象となる基準が緩和されます。
3.受取配当金の益金不算入の縮小
受取配当金について一定割合を経費にできる制度について、 経費算入割合が次のとおりに縮小されて増税となります。
(1)現行の経費算入割合
- 持株比率が25%未満・・・50%
- 持株比率が25%以上・・・100%
(2)改正後の経費算入割合
- 持株比率が5%以下・・・・20%
- 持株比率が5%超1/3以下・・・50%
- 持株比率が1/3超・・・100%
4.研究開発税制の拡充
試験研究費の法人税の税額控除の制度について、以下の見直しが行われます。
(1)オープンイノベーション型(外部の技術・知識を活用した研究開発)
現行の控除率の試験研究費に対して12% から次のとおり控除率が増加されます。
- 大学・特別試験研究機関との共同・委託研究・・・30%
- 企業間等(中小企業からの知財権使用料等を追加)・・・20%。
なお、「総額型(中小企業の控除率は12%)」とあわせた税額控除の限度額については、引き続きその期の法人税額の30%とされます。
(2)1年間の繰越控除制度の廃止
税理士 田中利征