国外転出時課税制度とは(平成27年度税制改正にて新設)
1.創設の背景
近年、多額な含み益を有する株式等を保有したまま国外へと転出し、キャピタルゲインに対する課税が非課税である国で売却して課税を逃れる、といった行為が著しく増加の傾向にありました。
そこで、こうした課税逃れに対する対策として本制度が創設されたのです。
2.制度の概要
一定の居住者が1億円以上の有価証券(株式や投資信託など)や匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)の対象資産を所有等している場合に、次に掲げるいずれかのタイミングで対象資産の譲渡又は決済があったものとみなし、対象資産の含み益に対して所得税を課税する制度です。本年7月1日から施行されます。
- その者が国外転出をする時
- その者が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の一部又は全部を贈与する時
- その者が亡くなり、相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が対象資産の一部又は全部を取得する時
税理士 田中利征