平成28年度与党税制改正大綱−国税関連編
12月16日、自民・公明の与党両党は平成28年度税制改正大綱を決定しました。
本改正大綱で国税に関する注目のポイントは次のとおりです。
1.消費税の軽減税率制度の導入
対象品目に関する激論の末、「酒類及び外食を除く食品全般」と定期購読契約の新聞(週2回以上発行)が軽減税率の対象とされました。
また、消費税の納税額を正確に計算するためにインボイス(税額票)の導入が決まりました。導入時期は平成33年4月とされ、それまでの期間は簡素な方法で対応することとされました。
2. 建物附属設備・構築物の「定額法」償却への一本化
平成28年4月1日以後に取得する建物と一体的に整備される建物附属設備、長期安定的に使用される構築物については、償却方法に定率法がなくなり定額法へと一本化されます。
3.所得税関連
(1)スイッチOTC薬控除の創設
一定のスイッチOTC医薬品の購入額が年間で12,000円を超えた場合は、88,000円を限度に課税所得から控除する医療費控除の特例が創設されます。医療費控除の控除額計算上の特例措置であり医療費控除といずれかの選択適用となります。
(2)三世代同居住宅のための改修工事等に係る特例の創設
三世代同居住宅をリフォームして居住した場合、一定の要件のもと住宅ローンの年末残高のうち改修費に相当する部分の2%を5年間税額控除する特例が創設されます。
(3)一定の空き家の譲渡所得に対する3,000万円の特別控除の創設
一定の時期以前に建築された空き家を相続して譲渡した場合、一定の要件を満たす譲渡に対しては3,000万円の特別控除が適用されます。
4.国税のクレジットカード納付制度の創設
国税について、インターネット上でクレジットカードによる納付を可能とする制度が創設されます。国税庁長官が指定する納付受託者(クレジットカード会社)が納税者から委託を受けた日に国税の納付があったものとみなされます。
なお、クレジットカードの利用手数料は納税者の負担となります。
5.国税関係書類に係るスキャナー保存制度の追加
デジタルカメラやスマートフォンなどで撮影した電子データによる保存も認められることになります。
税理士 田中利征