経理・法律に関する情報
税理士田中先生のワンポイントアドバイス
免税店で売上アップ経営者保証なしで融資を実現する「経営者保証に関するガイドライン」
(2025年10月31日掲載)
ご存知ですか?この情報
投資口座と外国税額控除の関係資本金を増資する
(2025年10月31日掲載)
近年、加速する少子化などの社会情勢の変化から、相続しても利用することのない土地に対する管理や維持にかかる費用負担が、大きな社会問題となってきています。
こうした相続土地を巡る問題の解決策として、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下、相続土地国庫帰属法という)」が令和3年4月に成立しています。
「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)」とは、「相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得したものが法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができる」とする法制度のことです。
本法を活用すれば「相続等で取得したけれども自分には利用価値がなく不要と判断した土地について、所有権を放棄して国に引き取ってもらえる」可能性があり、そうなれば相続した土地の管理コスト負担から解放されます。
相続土地国庫帰属法は2023年(令和5年)4月27日に施行されます。
本法で対象となる土地は、相続したタイミングに縛られることはなく、いつに相続した土地であっても国庫に帰属させるための承認申請を行うことは可能です。
相続では、現金や預貯金などの資産の他に借入金などの負債があれば、あわせて一緒に承継することになります。つまり、負債もあわせた包括承継となるため被相続人に借入金があれば、その返済を引き継ぐことになります。
親の負債を相続したくなければ、相続放棄を行うことになります。相続放棄を行うと、その相続人は初めから相続人ではなかったことになります。相続人でなければ親の資産及も負債も承継することはないわけです。
相続放棄がなされて相続人が不在となった場合は、相続財産は最終的には国庫に帰属すると民法に規定されています。
相続土地国庫帰属法では、所有権を放棄した土地は国庫に帰属することになりますが、相続放棄のように土地も含め全ての資 産が国庫に帰属する、ということにはなりません。
相続放棄と異なり相続土地国庫帰属法は、不要な土地のみを国庫に帰属させることが可能なのです。
また、相続放棄は原則、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければなりませんが、相続土地国庫帰属法ではいつ相続した土地でも国庫に帰属させることが可能です。
相続放棄では、相続を放棄しても管理責任からは解放されないため、相続財産を一切管理しなくてもいいということにはなりません。相続土地国庫帰属法では、土地の所有権を国庫に帰属させてしまえば管理義務は発生しません(別途、負担金の支払いがあります)
税理士 田中利征
「相続土地国庫帰属法」では、土地所有者が所有権を手放して国へ帰属される土地について細かな要件を定めています。
この要件を見てみると、管理にコストがかかるとか権利関係でトラブルになる可能性のある土地は、承認申請対象から除外されたり、承認申請が却下される可能性が高いように思われます。
相続土地国庫帰属法の対象とされる土地は、土地の取得理由が相続及び相続人への遺贈によって入手した土地に限定されています。よって、売買などで取得した土地については国庫帰属の承認申請はできません。
相続等で取得した土地であっても、以下のいずれかに該当する土地はそれだけで承認申請をすることができないとされており、申請自体のハードルがかなり高いようです。
さらに、以下のいずれにも該当しないと認めるときは、法務大臣はその土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならないと規定されているため、下記に該当する土地の場合は承認申請はできたとしても却下される可能性が高いかもしれません。
税理士 田中利征
(2025年10月31日掲載)
(2025年10月31日掲載)