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M&Aの活用(事業売買の方法)1/2

近年は中小零細企業においても小規模なM&Aが頻繁に行われるようになりました。

業績の優良な企業に限らず赤字でも譲渡されるケースは珍しくありません。広告宣伝の方法を工夫すれば人気商品になり利益が出る製品を有する企業、業歴が長く地元での信頼力がある企業など、新分野への進出や現事業の拡大を検討している経営者にとって有望な企業が見つかることもあります。

実際のM&Aには会社全部を譲渡する方法と一部の事業のみを譲渡する方法があります。会社全部を譲渡する場合は、会社の発行済株式の全てを買い手に譲渡することが一般的であり、これを「株式譲渡」と呼びます。一部の事業のみを譲渡する場合は、「事業譲渡」と呼びます。
個人事業の場合は全ての事業を譲渡する、「全部事業譲渡」が多いようです。

実務では、会社の場合現経営者が経営から一切手を引き会社事業から完全に引退するケースでは「株式譲渡」を選択し、会社事業の一部について今後も継続を現経営者が希望されるケースでは、法人全体を譲渡することはできなため事業譲渡を選択します。

実例をあげると、長らく後継者を探していた金属加工業の会社があり、後継者が見つからないため株式譲渡を行いました。その会社の中核事業は金属加工業でしたが、譲渡会社のエリアへ進出を検討している企業があるとの情報を取引のある金融機関からいただき、買い手企業と10カ月程の交渉で株式譲渡に至りました。買い手企業からすれば、10カ月という極短期間で人材、ノウハウ、設備、新たな取引先、を一気に手にすることができたわけですから、そのメリットはとても大きい筈です。

税理士 田中利征

M&Aの活用(M&Aの相談相手は?)2/2

中小零細企業のM&Aを支援する組織団体には銀行等の金融機関、公的な機関、専門会社などがあり、M&Aの相談相手には困りません。それぞれの組織の特徴は次のとおりです。

1.銀行等の金融機関

多くの銀行では、M&Aの相談は無料で受けてくれます。都市銀行や規模の大きな地銀では、M&A専門の部署も存在します。金融機関のマイナス面としては、買い手となる企業は銀行の顧客から選ばれるため、候補企業の選択範囲が限られる点です。

また、銀行にノウハウがなければ銀行は手を引いて銀行系列のM&A仲介会社を紹介してくれますが、これも同じく選択肢が狭まる可能性が高いです。

銀行の紹介でM&Aが成立する場合、高い割合で銀行は買い手企業に買収資金の融資をします。資金を貸し出す銀行は、融資資金の回収リスクを減らしたいため、会社の譲渡(売却)金額を低めに提案することで融資額を減らそうとすることもあります。

2.公的な機関

自治体も後継者難の中小企業を支援するために様々な施策を行っています。

東京都では、「東京都中小企業振興公社」が事業譲渡等を検討している都内中小企業者を対象に、国内譲受(買い手)事業者とのM&Aマッチング支援を行っています。

また地方では、例えば広島県ですと、「産業競争力強化法」に基づいて、広島商工会議所が中国経済産業局から委託を受けて設置された公的な相談窓口である「広島県事業引継ぎ支援センター」が設置されています。このセンターは、地域の中小企業の円滑な事業承継をサポートする目的で、「売り手」・「買い手」企業のデータを活用してのマッチングサービスを進めています。

3.M&A支援専門会社

大手から中小まで、M&A支援業者は急速にその数を増やしています。M&A業者の運営するサイト上に登録し、条件がマッチした会社を紹介してくれたり、M&Aコンサルタントがついて、買い手候補企業の提示をしてくれます。

税理士 田中利征

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