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(2024年8月30日掲載)
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(2024年8月30日掲載)
平成19年度税制改正において、減価償却制度の改正が法人・個人ともに行われました。本稿は、中小企業の経営者及び経理担当者の方々を対象に、知らなかったではすまされない減価償却制度の改正のポイントをまとめたものです。
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以降従来の減価償却方法と償却可能限度額及び残存価額等が異なる新たな減価償却方法が3つ導入されました。
そのため、平成19年4月1日以降は、次の6つの償却方法が存在することになります。
償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時点に「残存簿価1円」まで償却できるようになりました。
前事業年度までの各事業年度において計上した減価償却費の合計額(累積額)が、取得価額(購入金額)の95%相当額まで到達している減価償却資産については、その到達した事業年度の翌事業年度(平成19年4 月1 日以後に開始する事業年度に限られます。)以後において、次の算式により計算した金額を償却限度額として償却を行い、残存簿価1円まで償却できるようになりました。
減価償却資産の取得日 | 償却可能限度額(残存簿価) | 償却方法 |
---|---|---|
平成19年3月31日以前 | 取得価額の95%相当額(残存簿価5%相当額) | 旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法など |
上記到達後は残存簿価1円まで償却可能 | (上記算式とおり) | |
平成19年4月1日以後 | 残存簿価1円 | 定額法、定率法、生産高比例法など |
来年のお話ですが...
平成20年4 月1 日以後に締結する「所有権移転外リース取引」契約については、その契約で賃借人となる法人が資産を取得したものとされる「リース資産」については、「リース期間定額法」が適用されることになりました。
平成19年4月1日以降は、定率法の償却率に定額法の償却率の原則2.5倍の償却率を用いた新たな定率法が導入され、250%定率法と呼ばれています。
新たな定率法(250%定率法)の導入により、従前の定率法は旧定率法と呼ばれます。新定率法は、旧定率法に比して早い段階で多額の償却を行うことが可能となる制度です。
取得価額1,000,000 円、耐用年数10 年(定額法の償却率0.100)の減価償却資産の各年の償却限度額の計算は、次のとおりとなります。
各年の償却限度額= 1,000,000 円×0.100 = 100,000 円
年数 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
期首簿価 | 1,000,000 |
900,000 |
800,000 |
700,000 |
600,000 |
500,000 |
400,000 |
300,000 |
200,000 |
100,000 |
償却限度額 | 100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
99,999 |
期末簿価 | 900,000 |
800,000 |
700,000 |
600,000 |
500,000 |
400,000 |
300,000 |
200,000 |
100,000 |
1 |
10 年目における計算上の償却限度額は100,000 円ですが、残存簿価を1円にする必要があるため、実際の償却限度額は99,999 円にとどまります。
最初に「調整前償却額」が「償却保証額」に満たないこととなる事業年度の「改定取得価額」(最初に満たないこととなる事業年度の期首帳簿価額)に、減価償却費がその後毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた「改定償却率」(耐用年数省令別表第十に規定)を乗じて計算した金額を、各事業年度の償却限度額として減価償却費の計算を行います。
取得価額1,000,000 円、耐用年数10 年の減価償却資産の各年の償却に係る計算は、次のとおりとなります。なお、定率法の償却率 0.250、保証率 0.04448、改定償却率 0.334です。
年数 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
期首簿価 | 1,000,000 |
750,000 |
562,500 |
421,875 |
316,407 | 237,306 |
177,980 |
133,485 |
88,902 |
44,319 |
償却限度額 (調整前償却額) |
250,000 |
187,500 |
140,625 |
105,468 |
79,101 |
59,326 |
44,495 |
33,371 |
25,028 |
18,771 |
償却保証額 | 44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
44,480 |
改定取得価額×改定償却率 | 44,583 |
44,583 |
44,318 |
|||||||
期末簿価 | 750,000 |
562,500 |
421,875 |
316,407 |
237,306 |
177,980 |
133,485 |
88,902 |
44,319 |
1 |
調整前償却額が償却保証額(取得価額1,000,000 円×保証率0.04448 = 44,480 円)に満たないこととなるのは、8 年目以後の各年です。
そのため、8 年目以後の各年は、改定取得価額(133,485 円)に改定償却率(0.334)を乗じて計算した金額44,583 円が償却限度額となります。
さらに、10 年目においては残存簿価を1 円とする必要があるため、44,318円が償却限度額となります。
次の減価償却資産について、法定耐用年数の改正が行われました。改正後の法定耐用年数は、平成19年4 月1日以後に開始する事業年度からの適用となります。
減価償却資産(機械及び装置) | 法定耐用年数 |
---|---|
半導体用フォトレジスト製造設備 | 5年 |
(改正前8年) |
|
プラットパネルディスプレイ又は プラットパネル用フィルム材料製造設備 |
5年 |
(改正前10年) |
(注)本稿は国税庁の資料をベースに、平成19 年4月1日現在の法令に従い作成してあります。
(2024年8月30日掲載)
(2024年8月30日掲載)