会計ソフト経理・法律に関する情報減価償却の基礎知識(平成23年度税制改正対応)

減価償却の基礎用語と決算書への表示方法

1. 減価償却の基礎用語

会計用語では、自動車のように減価償却を行う資産を減価償却資産といいます。その購入金額の600万円は「取得価額(原価)」、想定した利用可能期間の6年は「耐用年数」と呼ばれます。

税法は、新品の自動車や事務機器など新品資産の種類ごとに耐用年数を定めており、これを法定耐用年数といいます。実務では、新品の資産の耐用年数を決める際は、この法定耐用年数を利用するのが一般的です。

なお、法定耐用年数は、「普通自動車6年」などのように実際の資産の利用可能期間よりもかなり短く設定されています。そのため、資産の減価償却が終了した後もしばらくの間は事業で使用されています。

取得価額と耐用年数を基にして、各期へと配分する費用100万円を計算(資産の費用化)することを「減価償却(費の)計算」といい、計算された費用の100万円を「減価償却費」といいます。

購入初年度は、決算で100万円の減価償却費を計上するため、決算後にまだ減価償却がされていない金額は500万円(600万円-100万円)となります。この500万円は、翌期以降に減価償却が行われていくため、「未償却残高」と呼ばれます。ちなみに、翌期償却実施後の未償却残高は400万円(500万円(期首未償却残高)-100万円(当期償却費))となります。

未償却残高は、固定資産の購入金額のうち、未だ減価償却費として費用にされていない部分であり、「固定資産の価値の残り分」として「帳簿に記録されている固定資産の価値(金額)」とも言えます。そのため、未償却残高のことを「帳簿価額(略して「簿価」)」とも言います。

ところで、本ケースでは、取得価額の600万円全額を減価償却により費用化しましたが、自動車には6年後の耐用年数到来時点でも処分価値があると考えられます。この耐用年数到来時点で予想される売却価格または利用価格のことを「残存価額」といいます。残存価額について税法は1円と定めています。

2. 決算書への表示方法

決算書の作成にあたっては、減価償却費を損益計算書の費用に計上するとともに、貸借対照表の固定資産から減価償却費相当額を減額します。固定資産から減価償却費相当額を減額する方法には、「直接法(該当する固定資産から直接控除する方法)」と「間接法(該当する固定資産から間接的に控除する方法)」の2つの方法があります。

(1)直接法

車両運搬具の表示金額は、毎年計上される減価償却費相当額分直接減額します。

図(直接法)

(2)間接法

車両運搬具の表示金額は取得価額のままとし、これまでに計上した減価償却費の累計額分を、「減価償却累計額」という名称を使い取得価額から間接的に控除します。

図(間接法)

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