会計ソフト経理・法律に関する情報減価償却の基礎知識(平成23年度税制改正対応)

資本的支出とその取り扱い

1.原則的取り扱い

資本的支出とは使用可能年数の延長・資産価値の増加を伴う支出を言います。資本的支出は資産とされるため、その後の減価償却を通じて費用化していくことになります。

具体例をあげれば、スチールサッシからアルミサッシへ建具を取り替える工事で、その総費用が500万円かかるとします。その際、スチールサッシからスチールサッシへの取替費用が350万円であるなら、その超過額の150万円は資産価値の増加を伴う支出に該当することとなり、資本的支出とされます。

本例では、取替え工事費用500万円のうち、350万円が修繕費として交換した年度の費用となります。修繕費のように交換年度の収益に対する費用となるものを収益的支出と呼びます。他方150万円部分は資本的支出とされるため、資産として計上されその後減価償却を通じて費用化していくことになります。

2.実務での取り扱い(形式基準)

実務では様々な修繕や工事が行われており、収益的支出と資本的支出の線引きが非常に困難なケースが多々あります。そこで実務では、通常、次の形式基準で判定することになります。

(a)少額または周期の短い費用の損金(費用)算入

一つの修理や改良のために支出した費用が、次のいずれかに該当すれば修繕費として損金経理(費用処理)することができます。

  • 支出額が20万円未満の場合
  • おおむね3年以内の周期で修理や改良が行われている場合

(b)形式基準による修繕費の判定

資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額で次のいずれかに該当するものは、修繕費として損金経理することができます。

  • 支出額が60万円未満の場合
  • 支出額が修理・改良をした固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

(注)10%基準は、「原始取得価額+前期末までに支出した資本的支出の額」で判定し、帳簿価額(未償却残高)は関係ありません。

(c)資本的支出と修繕費の区分の特例

資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない場合には、継続適用を条件として、次のいずれか少ない金額を修繕費として損金経理することができます。

  • 支出額の30%相当額
  • その固定資産の前期末取得価額の10%相当額

(d)災害などの場合の特例

災害などで損傷した固定資産に対する支出額で、資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものは、支出額の30%相当額を修繕費として損金経理することができます。

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