基礎知識編−償却方法の紹介
用語解説
減価償却の用語の解説をします。
取得価額 | 固定資産の購入金額や製作金額。購入や設置に必要な付随費用を含みます |
---|---|
耐用年数 | 固定資産が使える寿命。税法で損金経理が可能な年数は決められています。 |
償却率 | 償却額を求める比率。償却方法と耐用年数をキーに法定の耐用年数表から引きます。 |
残存価額 | 耐用年数が経過後、処分したとき見込める売却金額。税法では取得価額の10%としています。 |
償却可能 限度額 | 耐用年数経過後も償却が許される償却総額。税法では取得価額の95%までとしています。 |
残存限度額 | 取得価額から償却可能限度額を引いた金額。償却が終わっても貸借対照表に残る金額。 |
償却限度額 | 税法で損金参入(経費にすること)が認められた減価償却費。 |
備忘価額 | 貸借対照表に資産として残すための金額。1円。 |
耐用年数表 | 減価償却資産の耐用年数等に関する省令で定められています。 |
旧定額法
平成19年3月31日以前に取得した資産に適用されます。
固定資産の取得価額を、定額で償却する減価償却方法です。
計算方法
償却前の帳簿価額が5%残存限度額に達していない場合
耐用年数表から、旧定額法の償却率を参照し、次の算式で計算します。
残存価額が5%になるまで償却できます。5%になる年は、5%になるまでの金額とします。
償却前の帳簿価額が5%残存限度額に達している場合
平成19年の税制改正で追加された償却制度で、平成19年4月1日以後に開始する事業年度(個人の場合は平成20年度)から適用されます。 未償却残高が償却限度額(5%)になった翌年から、1円になるまで5年間にわたって均等に償却します。
旧定率法
平成19年3月31日以前に取得した資産に適用されます。
固定資産の取得価額を、毎期、定率で減らす減価償却方法です。
計算方法
償却前の帳簿価額が5%残存限度額に達していない場合
耐用年数表から、旧定率法の償却率を参照し、次の算式で計算します。
残存価額が5%になるまで償却でき、5%になる年は、5%になるまでの金額とします。
償却前の帳簿価額が5%残存限度額に達している場合
平成19年の税制改正で追加された償却制度で、平成19年4月1日以後に開始する事業年度(個人の場合は平成20年度)から適用されます。 未償却残高が償却限度額になった翌年から、1円になるまで5年間にわたって均等に減価償却費を計上します。
定額法
平成19年4月1日以降に取得した資産に適用されます。
固定資産の取得価額を、定額で償却する減価償却方法です。
備忘価額1円まで償却できるようになりました。
計算方法
実務では耐用年数表から、定額法の償却率を参照し、次の算式で計算します。
残存価額が1円となる年は、1円になるまでの金額とします。
定率法
平成19年4月1日以降に取得した資産に適用されます。
固定資産の取得価額を、毎期、定率で減らす減価償却方法です。
償却額が一定額(償却保証額)より少なくなった時点で、残りの耐用年数を基にした均等償却に切り替わります。
計算方法
定率法は、当初、大きな金額が償却できますが、だんだん償却額が少なくなり、最後まで償却できない欠点があります。 そこで、償却の最低保証額を設け、償却費がその金額を割る場合、定額法に切替わる方法が採用されました。
まず、定率法の償却費が保証額以上かどうかをチェックします。 耐用年数表から、定率法の償却率と保証率を参照し、次の計算をします。
- 算式A
調整前償却額 = 前事業年度末の未償却残高(取得価額−前期末の減価償却累計額)×耐用年数に応ずる定率法の償却率 - 算式B
償却保証額 = 取得価額×耐用年数に応ずる保証率
算式A>算式Bの場合
算式A≦算式B又は前年において改定取得価額(※注)を基に償却費の額を計算している場合
耐用年数表から、改定償却率を参照し、次の計算をします。
(※注)改定取得価額とは、「償却保証額」より償却額が低く計算された事業年度の「前の事業年度の未償却残高の額」のことです。
残存価額が1円となる年は、1円になるまでの金額とします。
リース期間定額法
リース取引に適用される定額の減価償却の方法です。
平成20年4月以降に締結するリース契約から適用されます。
対象は「所有権移転外ファイナンス・リース取引」です。
所有権移転外ファイナンス・リース取引とは、リース期間の途中において自由解約が認められない「ファイナンス・リース取引」のうち、
リース期間終了後にリース物件を貸し手側に返還することが約束されている取引をいいます。
会計基準の取扱いに合わせ、税法においても、所有権移転外ファイナンス・リース取引を売買取引とみなすことになり、 減価償却の方法が制定されました。
計算方法
次の算式により計算しますが、法人がその一部を利息相当額として区分した場合には、その区分した利息相当額を控除した金額となります。