青色申告ソフト青色申告の基礎知識や帳簿作成などについて実践的な内容をご案内するコーナー青色申告の基礎知識(青色申告ガイダンス)

銀行口座について

先生

今回は、事業をはじめたら専用の普通預金口座を作ろうという話です。

女性

開業されるとき事業用口座を作らず、手持ちの個人口座をそのまま使われる方がいらっしゃいますね。

先生

そう、個人事業のスタート時点では、家庭用の銀行口座で事業上の入金や出金を処理している個人事業者も多いですね。法人なら法人設立手続きで法人名義の口座を開設しているのだけれど、個人ではその必要もないので、ついすでに開設してある家庭用の口座を事業用に借用してしまうわけです。

女性

それではいけないということではないのですよね?

先生

たしかに、家庭用の口座以外に新たに事業用の口座を開設する義務はないけれど、事業専用の口座を設けない場合はデメリットが意外に多いんですよ。

女性

それは、例えばどのようなことですか?

先生

まず、取引を見ても、これが事業用のものか、家庭用のものかを一々判断しなければならないでしょう?一つの通帳に事業用と家庭用の取引が混在していると、記帳が非常に面倒になるんです。

帳簿の記帳は初心者ほど毎日こつこつ続けることが大切なんだけど、通帳がごちゃごちゃだと誰だって作業がしんどくなってしまうよね。

女性

そのとおりですね。事業の取引とプライベートな取引がごちゃごちゃになってしまって、結局記帳を投げ出してしまうケースも見受けられますね。

先生

でも、帳簿付けを誰か他の人に依頼しようとしても、一つの通帳に事業用と家庭用の取引が混在していると、プライベートの取引が他人に丸見えになってしまうので、これもまた抵抗がありますよね。

女性

お勧めの方法はありますか?

先生

単に事業用口座を作るだけでもよいのですが、僕は、

  • 事業用の「入金(売上)専用口座(通帳)」と
  • 事業用の「出金(経費払い)専用口座(通帳)」を

それぞれ設ける方法が便利だと思います。この方式だと経験的にも通帳を見ながらの記帳がぐっと楽になるね。

女性

それは良いアイデアですね。

先生

それに、取引回数が多く記帳が面倒な「経費専用口座」の記帳だけを切り分けておくと、その口座の記帳だけを第三者に依頼することも可能になります。この方法なら、売上高の状況がどの程度かを第三者には知られなくてすむでしょう。

個人事業であっても口座名義に個人の氏名を使うのではなく、屋号を用いることが可能な銀行もあります。事業に利用する口座はオープンになるから、何となく氏名だけの口座を使うことには抵抗を感じる事業主には人気があるんですよ。

女性

事業用口座と個人用口座を分けるメリットについてはよくわかりました。ところですでに個人用口座がごちゃごちゃな人はどうすれば良いのでしょう。

先生

そういう場合はしかたがないから「事業主借」勘定で記帳するしかないでしょうね。

たとえば、事業用の駐車場料金1万円が個人用口座から引き落とされたとすると次のようになります。

┃ 伝票日付: x年x月x日 ← 支払った日
┃ 仕 訳 :(借方)地代家賃  10,000 (貸方)事業主借  10,000
┃ 摘 要 :○○不動産、事務所来客用駐車場、x月分

女性

事業用口座があれば、預金出納帳から入力ができるので楽ですが、個人口座だといちいち仕訳をしなければならない面倒があるわけですね。

先生

そうです。普通預金口座の開設は決して難しいことではないのですから、最初からきちんとするのがいいですね。

女性

ありがとうございました。次回は、開業資金の記帳方法について教えてください。

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