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税理士田中先生のワンポイントアドバイス
令和6年度税制改正後の「中小企業法人向け賃上げ促進税制」1/2回令和6年度税制改正後の「中小企業法人向け賃上げ促進税制」2/2回
(2024年11月30日掲載)
ご存知ですか?この情報
輸入代行業者へ依頼した場合の消費税の取り扱い相続時精算課税制度に創設された年間110万円の基礎控除
(2024年11月30日掲載)
前年度の「青色申告控除前所得」の金額についてお聞きしたいのですが、開始残高登録で、去年の貸借対照表を入力してゆくとちょうど前年度の「青色申告控除前所得」の金額分が貸借不一致になります。ところが、開始残高では「青色申告控除前所得」は金額が登録できないので、どうしたらよいだろう?というのが質問をよく受けるんです。
なるほど、そういうことですか。ここで話題になっている前年度の「青色申告控除前所得」は、前期末の所得ですから、そのまま今期の「青色申告控除前所得」勘定へ繰り越すことはできませんね。
「青色申告控除前所得」の金額は、毎年の開始時点ではゼロクリアされるわけですね。でもただゼロにしただけでは帳簿の貸借が合わなくなります。
そう、だから個人事業の帳簿では、元入金に加算(前年損失の場合は減算)するのが基本ですね。
加算する先はなぜ「元入金」なんですか?
「元入金」は個人事業特有の勘定で、法人で言えば「資本金」にあたる部分です。この金額は(資産)−(負債)で計算されます。
ところで、この「資産と負債の差額」って何だと思う?
実質的な正味の持分、つまり商売のモトデとして使えるお金ってことですか?
そう。だから「元・入・金」。
じゃあ、去年の最初に用意したモトデに、一年間の利益を足した額が今年の最初に用意できるモトデというわけで、毎年着実に利益を上げて行けば、ドンドン事業の元入金が増えていくんですね?
まるっきり間違いではないけど、何か大事なことを忘れていますよ(笑)。
なんでしょう?
事業主の生活費。暮らしていくためにはお金を消費することが必要ですからね。
あ、そうですね。
法人の場合は、社長の生活費は「役員報酬」として決められた額が経費として計上されるけど、個人事業主はそうではありませんね。
事業主勘定を使うわけですね。
そう、生活費などプライベートに支出した分を「事業主貸」という勘定に記録します。反対に事業用資金が足りなくなったときは「事業主借」勘定を使う、このことはしばしば触れたとおりです。
すると「事業主貸」「事業主借」も翌年のはじめには元入金に集約されなければなりませんね。
だから開始残高の元入金はこうなります。
[去年の元入金]
+[去年の青色申告控除前所得]
+[去年の事業主借](事業主が補填した額)
−[去年の事業主貸](事業主が生活費として使った額)
=[今年の元入金]← コレが開始残高に登録する額
そして、「青色申告控除前所得」は登録不要、「事業主貸」「事業主借」の開始残高は両方ともゼロ、となるわけですね。うーん、な〜るほど。何だか簿記ってパズルみたいですね。
そう、それぞれの勘定科目がパズルのように相互に関連しつつ、実際の企業の姿が忠実に記録されていく、複式簿記はそんなしくみなんだね。
(2024年11月30日掲載)
(2024年11月30日掲載)