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先生、『せっかく一年間頑張って会計帳簿をつけて申告しようとしたのに、税務署の窓口で「貸借対照表の金額が違ってませんか?」と指摘を受けた、どうしてでしょう』ってお問い合わせがあるんですが、どうしてでしょう?
うーん、状況がわからないのでもちろん何とも言えないけど、窓口でちらっと貸借対照表を見ただけで明らかに不備があると指摘されたなら、いくつかのケースを想像はできるかなあ。
それはどんな場合ですか?
青色申告書の4ページのタイトルは「貸借対照表」って記載がありますが、その隣に何と書かれていますか?
ええっと確か「資産負債調」
そのとおり。資産と負債を調べるための表です。
はい。
一応の記帳をしているつもりでも、「貸借対照表」に現実ではあり得ない金額が記載されていたら、これは実際の帳簿を詳しく見ていなくても「はてな?おかしいな?」となるでしょう。
具体的にはどんな場合ですか?
意外に多いのが、資産がマイナスになっているというケースです。特に「現金」勘定や、固定資産の勘定科目の期末残高がマイナスになっていると、これは問題です。
現金はゼロになったら、それ以上支出のしようはないはずですものね。
そう。帳簿の現金残がマイナスになっているときは、実際には預金を引き出したり、事業主が資金を補填したり、ほかから資金を借り入れたりしているはずなんだ。それら資金調達に関する取引の記帳が洩れている可能性が高いんだね。だから資金に関する取引を追加入力すれば多くの場合は解決するはずだ。
固定資産のマイナスはどのようにして起こり易いのですか?
このケースは、白色や簡易帳簿から青色の複式簿記に移行した年度で起こり易い。初めて貸借対照表を作成するにあたって、最初に固定資産の未償却残高を登録するのを忘れ、期末に減価償却してしまうと、減価償却分だけマイナス残高が発生してしまうよ。
帳簿上は存在しない資産の減価償却がされてしまう、というわけですね。
そのとおりです。この場合は、開始残高に固定資産の期首未償却残高を登録すれば解決する。
後はどんなことがありますか?
借入金を返済するときは、元金と利息をきちんと分けて記帳しているかな?利息も含めて元金として返済の仕訳をしていると借入金のマイナス残というあり得ない状況が発生してしまうよ。
逆にあり得ないくらい大きな金額が計上されている、ということもあるようです。
現実には存在しないのに期末の現金残高が帳簿上は何百万円にもなっている場合は、事業主の生活費が記帳されていないケースが多いですね。同様に、預金の帳簿上の残高が預金通帳の残高と合わない場合も、個人的な取引が記帳されていないことが多いようです。
プライベートな取引は記録しなくてよい、と言う点で誤解が生じることもあるようですね。
もちろん、プライベートな取引の明細を家計簿のようにことこまかに記帳する必要はないんですよ。でも事業用の資金をプライベートに使ったら、「事業主貸」でプライベートに使ったということは記録しておかないと帳簿が現実と乖離してゆきますよね。同様に資金が足りなくなって事業主がプライベートなお金を投入したときも「事業主借」で記録しておかないといけません。
事業への資金の出入りを記録するのですね。
そうなんです。貸借対照表という書類は、その時点の事業の資産と負債の状況を表しているものだから、特に簿記に堪能でなくても期末の貸借対照表を見れば「あり得ない」かそうでないかはすぐわかります。「おかしいな」と思ったら帳簿付けの何かが洩れているか、間違って記録している可能性が高いですから、もういちど帳簿を点検してみる必要があります。
でも、はじめて貸借対照表を作成される方の場合、どうしても原因がわからない、突き止められない、ということもありますよね。
そういう場合は、財務諸表を印刷して税務相談室などや税理士に相談してみるとよいでしょう。正しくない状態で申告してしまうと、次の年にも影響することがあるから、「おかしいな」と不安を感じたら、できるだけ早いうちに調べて対策をとることが大切です。
(2024年9月30日掲載)
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